第七話:びっくり花火と砲撃士
ここは挫不都の国、そう、白凰達が目指している国である。そ中央にそびえる城の一室、誰かが話をしていた。
「砲炎(ホウエン)、今回の任はお前に任せよう、戦狼とともにな。」
言ったのはモノアイの顔の男である。
「了解ッ!・・・でも、何で急に・・・?」答えたのは・・・武者頑駄無である、彼が砲炎というらしい。
「私は知らん、上からの命令だ。」男は答える。「砲炎、つべこべ言うな、では、言ってまいります、清空(シグー)殿・・・・」側にいた戦狼が言った、そして、このモノアイの男は、清空というそうだ。
「任せたぞ・・・・我々の計画にはお前達が必要だからな。」清空がそういうと、戦狼と砲炎は部屋から出ていった。
さて、ところ変わって、天宮の山道、なぜか森の中を突っ切っている者達がいる。
ご存知白凰と烈紅龍だ。
「・・・で、何で町を目指してるのに山を上ってるんだい?僕達は」白凰がつぶやく。
「え、だって、地図にこっちって・・・・」烈紅龍は反論するが・・・・「烈紅龍・・・・それ時隠の国の地図じゃないの・・?」そう、地図を間違えていた。
「どれどれ、こう行ってこう行ったから・・・・ぜんぜん逆じゃないか」皆さんのご予想通りである。
「でもよー、ここ進めば、温泉地があるようだぜ?」烈紅龍は言った、そして、少しの沈黙。
『そりゃいいや!』二人は口をそろえて進みはじめた。
ガサゴソ、やっぱり森を突き抜けていった白凰たちは、ある村にたどり着いた。
こここそ、天宮の温泉郷、綺羅温泉(キラオンセン)である、温泉近くには、出店が建ち並び、花火が発射される谷、それを見るにはもってこいな広場など、おもわず探検してみたくなるようなスポットが目白押しなのだ。ちなみにこの辺りの谷の下にはもうひとつ谷がある珍しい形となっているらしい。
さて、早速白凰たちは名物の温泉につかっていた。
「ふぅー、極楽だ・・・・・」子供の言うような台詞ではない。
ふと白凰が、隣の湯を見ると、烈紅龍がいない、おかしい、と周りを見てみると・・・いた、女湯と男湯を隔てる壁の下、桶をつみあげている、まさかとは思うが・・・・
「・・・もうすこし・・・こんぐらいか?ほっ!・・・・ぅぅううわあああぁ!」ザボオオオン!
桶が崩れ白凰の浸かっている湯の中に頭から転落した。
「烈紅龍・・・・だいじょうぶ・・・?」白凰は、湯の中に沈んでいる烈紅龍に聞いてみた。
「白凰、てめぇ、・・・よけやがったな・・・・」お湯からちょっと出ながら烈紅龍が言う、
「何やってたの?」白凰は聞いてみる「・・・温泉っつったら、覗くのは・・・常し・・・・ガクッ」呆れながら、白凰は、ぱっ、と横を見た。
すると、今度はよじ登る男がいるではないか!
「・・もうちょっとだぜぇ・・・・」見ていると、どこからか、石鹸が飛んできて、スコーン!と当たった。
「砲炎!もう俺はあがるぞ!」投げたらしき男は言った、・・・・・どこかで見たことがある。
「・・・・あのときの・・・まさか・・・・戦狼頑駄無・・・・・?」・・・しかし、白凰はそんな事無いな、とのぼせている烈紅龍を置いて風呂をあがった。「・・・・って、おい、わすれないでくれぇ・・・・」
さて、二人は温泉から出ると、ちょうど日も暮れかかっていたので、夕食をとる事にした、今日はお祭りらしく、温泉のまわりには出店が立ち並び、いかにも祭り、といった雰囲気をかもし出していた。
うどん屋に2人はいた、白凰はきつねうどん、烈紅龍は力うどんを注文し、やっとうどんが出てきた。
「さーて、と♪」烈紅龍は、力うどんに七味をかけようとした瞬間!どさっ・・・どうやら、ふたが緩んでいたらしい、客の視線が集まる中、烈紅龍は、「あっやべっちょっとかけすぎたな」
白凰は唖然とした、もちろん店内の客もだ。
「・・・どうしたんだ?・・あ、これか?俺、辛いもん好きだから」
真っ赤に染まったうどんをすする烈紅龍の隣で、白凰は、少し七味を入れようとした。
「所で白凰よ、おまえはうどんに爪楊枝かけて食べるのか?」「えっ・・・?・・・あ・・・・・」
白凰のうどんの中には、2、3本の爪楊枝、彼がとったのは、爪楊枝入れだったのだ。
白凰は、その楊枝をとり、食べ始めた。
日もすっかり落ち、出店からの光が美しく輝くころ、白凰たちはうどんを食べ終わり、その店で少し休んでいた、そのとき。
「ドーン!」花火が上がった。
「へぇー、花火かぁ、村でよく見たなァ」白凰はいった。
「俺も昔よく親父に連れられて町までみにいったもんだなぁ」
ドーン・・・ドーン・・・ズドーン
花火の音が聞こえてくる、どうやら花火大会が始まったらしい、
「さて、せっかくだし見に行ってみよっと!」「ああっ!ちょ、おいてくなって!」
二人が外に出ようとした瞬間である。
ドカァァァン!!
明らかに花火とは違う轟音が鳴り響く。
「なんだなんだぁ・・・・」「いまのははなびじゃねぇぞぉぉ」「おいみろっ!あっちの方!」
人々に混乱がおこる。二人は慌てて外に飛び出し、驚くべきものをみた、なんと、家の一つが消し飛んでしているではないか!
「おいおい、いねぇじゃあねぇか、戦狼、」塵と炭になった家、いや家だったであろう場所の上で一人、男が言った。
「俺に聞くな!あの少年は確かにここにいるはずだ!」
戦狼頑駄無がいた、そう、温泉のあの2人だ。
その時、戦狼が言う、心なしか白凰は彼に見られた気がした。
「・・・・・しょうがない、広場の方へ行ってみるぞ。」
その2人は、戦狼の言葉で、姿を消した。
「なんだよ、あいつら・・・」烈紅龍がつぶやいた、そのとき、白凰は駆け出そうとした。
「なッ!・・・どこ行く!?」白凰は答える、「決まってるでしょ、広場だよ!多分、あいつらが探してる”少年”って僕の事だ!」 「なんだとぉ!?」
さて、ここはその広場、といっても、崖が一方にあり、足元も雑草、石ころで、今日のような日は、風が吹きぬくが、屋台の光が暖かい、崖の下の方からは花火が上がっている。
白凰はここへ駆けてきた、戦狼はもうそこで辺りを見回している。そして白凰をみつけた。
「そっちから来るとはな、白凰君・・・・・いや白凰頑駄無!」戦狼は言った。
その横で、砲炎が烈紅龍に向かって「ああっ!あんときのコゾー!俺様の特等席をォォ!」
「あんたはあんときの覗きオヤジ!」「ああっ!?オヤジだと!ふざっけんなよ!俺はまだ○○歳だぁ!」(諸般の事情で伏せ字)
「ええいっ馬鹿やってるな!そこの赤い奴!勝負だ!」戦狼は烈紅龍に勝負を挑む、烈紅龍も
「おおっ!イライラしてんだ!ちょうどいい!」二人は同時に叫ぶ!『王努桜輝招来!!』
「ここで二組戦うのは狭いな、幸いここの崖は二段、下で待っているぞ!!」
戦狼が言い、崖の下に飛んだ。
「おもしれじゃねえか!」烈紅龍も続く。
「烈紅龍!その人強いよ!油断してちゃダメだ!」白凰が降りる烈紅龍に叫んだとき・・・・
チュイン! 銃弾が足元の地面に当たった、「・・・・・おいおい、何よそ見してんだ?お前の相手は!」
鎧を装着した武者、砲炎が小型の大砲のような銃を構え、その先から煙が上がっている、彼も風突備装備の所持者だったのだ、2人に混じって装着したのだ。
「・・・この俺だぜ・・・?」白凰は身構えながら、叫ぶ、「王努桜輝招来!」
そして、上がった花火とともに敵の方へかける!「いちおーやっとくぜ!いざ!」「・・・・尋常に!」
「勝負!!」 ドドーン!
「なーんて、な。」走ったと思われた砲炎は、急に後ろに飛び、砲を撃つ!
白凰はそのまま突進していったため、急にブレーキが利かず、スピードを落とす、とおもいきや、斜め横に飛ぶ!幸い足元を銃弾がかすっただけだが、白凰は異変に気付いた。
うしろで、さっきかわしたはずの弾が爆発したのである!
「うわッ!」白凰は少し飛ばされた!
「チッ、かわしたかい、だが、コレで避けにくくはなっただろ!?」
「さぁ!どこまでよけきれるかな!?」「くっ・・・・(どうすればいい・・?)」
その下では烈紅龍と戦狼が戦っている。
「ッらァ!!」烈紅龍は飛び蹴りを放つ!しかし相手には軽くよけられ、斬撃を食らう。
「まったく、つまらん・・・攻撃軌道はめちゃくちゃ、近距離攻撃のみ、もう少し強いかと思ったがこの程度とは・・・なッ!!」烈紅龍の方に飛ぶ!!
「・・・せめてもの情け、冥土の土産に見せてやろう!!」
戦狼は刀を構える。
「おもしれぇっ!」烈紅龍は突っ込む、しかし・・・
「見せてやろう! 必殺!!双狼牙(ソウロウガ)!!」戦狼は飛びかかると同時に、刀を上下から振る!
その瞬間だった、烈紅龍には、その姿は、まるで狼、口を開け、牙をむき、獲物に襲い掛かろうとする狼だ!
「うわぁあああ!!」弾き飛ばされる白凰、原因は爆発する弾丸である。
しかし、白凰には、一つ考えがあった。
腰の二本の刀、それを攻撃に使おうというのである、
「そろそろ終わりにしとこうかい?」砲炎は言うが、次の瞬間、白凰は力いっぱい砲炎の方に走った、そして!
ガキィッ!
腰の刀のうち一つをおもいっきり砲炎の方の先端に投げつけたのだ!見事砲の先端にはまり、
砲は弾を発射できなくなった!
「そういうことかい!だがなッ!」砲炎はすぐさま、背中のもう片方の砲を引き出す!
「いくぜっ!破炎弾(ハエンダン)!」引き金を引くと砲身から握りこぶし一個分くらいの弾が発射される、近くにいた白凰には確実に当たったがその大きさ故大きなダメージを受ける事はない、しかし次の瞬間!ゴウッ!
弾が勢いよく燃えたのだ!
「うあっ!」幸い、弾が少し跳ね、火は離れた場所で着火したが、白凰にはずぐわかった、
”あれに巻き込まれたら終わりだ、”と。
「そろそろ返すぜっ!!」砲炎は砲につまった刀を勢いよく抜き、そのまま投げつけた!!
しかし、白凰は受ける事が出来るはずも無く、とっさによけてしまった。
刀は、崖から落ちて、下で戦っている戦狼の剣先に偶然ぶつかった!
「ぬっ!な、なんだ!?」戦狼は動きを止める!そして刀は烈紅龍の足元に刺さった。
「これは・・・・恩にきるぜ!白凰!!」烈紅龍は刀を抜き、構える!
「無駄な事を!だああァッ!」戦狼は刀を振りかぶる!が、しかしっ!
ガキイイィン!
「・・・・・!」
「・・・とめたぜ・・・・!」
烈紅龍は刀で攻撃を止めたのだった!
「うおおっ!反撃開始だぁ!!」
上では、相も変わらず、砲炎優勢の戦いが続いている、
「・・・あーもうめんどくせえ!!そろそろケリをつけてやる!!王努桜輝開放!!」
しびれを切らした砲炎がついに叫んだ!そして、二つの砲は、光とともに合体する!
「えっ・・・・な・・・なにあれ・・・!」
その形は、何と独楽、巨大な独楽だったのだ!!
「もうそろそろお開きにしようぜ!」
砲炎は、独楽についていた、銃の引き金を、グイッ!と引き抜ながら独楽を投げた!!
地面に落ちた独楽は、猛回転をしながら、火を噴出した!そして白凰の周りを大きく回る!
たちまち周りは火に囲まれた!そして!
「うあああああ!!!」白凰の方に向かって急接近してきたのだ!!
すぐに超轟禁で独楽を防ごうとする白凰!しかし・・・・
「無駄だあ!!行け!王努桜輝奥義!獄炎独楽!!(ゴクエンゴマ)」
白凰は、無理やり防ぐが、どんどん押されていく!しかも後ろにあるのは炎の壁である!
仕方なく、力を振り絞り、独楽を弾く!ガキン!偶然だが、独楽の軌道が変わり、別の方向へ転がっていった、しかし、またこちらへ来るのも時間の問題だ、白凰は考える。
(・・・・どうすればいい・・・独楽の回転を止める・・・術者を止めればいいのか・・・?どうすれば・・・・まてよ・・・回転・・・?)白凰は思いついた!
「何考えても無駄だ!!コレで終わりだぁ!」また独楽は白凰に向かってくる!
「うおりゃあっ!」白凰は、超轟禁の飾り紐を握り締め、体を回転させる!独楽は野球の球のように弾かれた!
「なっ!・・む、むちゃくちゃじゃねぇか!・・・ってうおっ!」そのまま白凰はもう一度まわり、遠心力を利用して、超轟禁を砲炎に投げつけた!
「ぐわああぁ!」肩鎧にしか当たらなかった!しかし、大きな亀裂が入り、パキィン!と割れた。
超轟禁は、そのまま弾き飛ばされ、崖の方に突き刺さった。
「・・・こ・・・これで僕の勝ち・・・だ・・・」「・・・なわけねえだろ!」砲炎はまだ立っている!
「なめやがって!もうこうなったら、これをつかってやらぁ!」バクン!肩鎧についた箱が開く、
なかには、小型ミサイルらしき物が!
「・・・ハァ・・・ハァ・・・・もう・・・コレで終わりだ・・・こいつは追尾弾、いくら逃げても追っかけてくるぜ・・・発射だああぁ!」
「だらあぁ!」烈紅龍は、白凰の刀で、戦狼をはじく!
「くそっ!まだコレだけ元気があったか!」烈紅龍に戦狼は向かおうとする!
烈紅龍は、刀を振る!と思いきや、地面に刀を突き刺し、それを踏み台に飛ぶ!そして・・・!
「コレで俺の!勝ちだぁぁ!!」壁をけりながら、戦狼に向かって飛ぶ!
「王努桜輝開放!!王努桜輝奥義ッ!紅龍拳!!(コウリュウケン)」
烈紅龍の腕の風突備装備から爆風が出され、その力で戦狼になぐりつける!
「グハァッッ!!!!」尋常なダメージではない様子、戦狼は谷のほうへ落ちていったのだった・・
「・・うう・・・オレとしたことが・・・もう・・だめ・・・」
烈紅龍は、目を回し、その場に倒れこんでしまった。
砲炎は、ミサイルを発射した!
しかし、白凰にはもう勝機は見えていた、白凰は崖のほうにいる砲炎のほうめがけて、力一杯走った!
「なっ!血迷ったか!?」砲炎は身構える、しかし、白凰はその横を通り過ぎ、こうつぶやいた、
「・・・どこまでも追いかける、でしたよね!」そのまま白凰は崖の方に飛んだ!
「え、えああっ!」そう!ミサイルは白凰の方に向かってとぶ、しかし、そこには砲炎がいる!
もう、彼はよけることは出来なかった!
ズドオオオン!! 「どわあああああ!!」白凰が下に行った為、砲炎の足元に、ミサイルは直撃!そしてそのとき、花火士が最大の弾を入れ、点火した!
「ちっくしょおおお!・・・って、ん?」砲炎の吹っ飛ばされる方向には光る物体が下から上がってきていた、そう、あの花火だ!
「え、えええ!ちょ、待て待て待て待てぇ!!!」
一際大きな花火が上がったという。
さて、先ほど崖に飛んだ白凰は、というと・・・いた、崖のところに刺さっていた超轟禁の長い飾り紐につかまっていたのだ!
「久しぶりに!激!砕々!!」
さて、戦い終わって、白凰と烈紅龍は合流した。
「ふー・・つ・・・疲れた、」
「お、俺も・・・でもなんか釈然としねぇなぁ・・・・やっぱり、手加減、されてたのかもしれない・・・」
「実は、僕もちょっと思ったんだ、前に戦った時・・・なんでだろう・・・ま、いいや!烈紅龍!行く前にもう一回温泉入っとく?」
「賛成!!」
そんなわけで、2人はまた温泉に向かうのだった!
第七話:終わり
次回予告!
温泉でやっと疲れも取れた白凰たち2人、挫不都に向かって今日も行く!
というところに、謎の人が飛び込んでくる!
「・・・こ、この人、武者じゃない・・・?」
次回!第八話「見参!風突備ナイト!」お楽しみに!
おまけのヒトリゴト:長かった・・・半月くらいかかった気がする・・・・