第五話:驚きの紅拳

ここは風乱斗の村から少し離れた街道、「練郷(れんごう)街道」そこを歩く少年が一人、白凰頑駄無である。
彼はつぶやいた。「・・・・誰か・・道教えてよ・・・」・・・肝心の、地図を忘れたようだ・・・。
もうずっと歩きっぱなしでへとへとだ、しかし、やっと茶店らしき建物が見えた。。
両側には田舎道、しかし、畑仕事をしている人はちょうどいない時間帯。

「も・・・・・だめ・・・・・・かも・・・・」ばたっと、その場に倒れてしまった、ちょうど道行く人はいない、
運が悪すぎる・・・・・・・

・・・・そこで数分間立って、やっと人が通った、なんと言うか、武者と言う感じのしない青年である
「ん?・・・・・うわぁ!!行き倒れか!?お、おい大丈夫かよ!・・・おーい!!・・・・しかたねぇな・・・・」
そう言って、白凰を近くの茶店まで担いでいった。

「・・・・ここは・・・?」「ようやくきがついたか」白凰は飛び起きた、見知らぬ若者が横に座っていた「大変だったんだぜ?道で倒れてるあんたをみつけてさ、」「あ、ありがとうございますっ!!」
ここはあの時見た茶店のようだ。「僕・・白凰っていいます!・・あの・・何かお礼をさせてください!」
「いいっていいって、俺は烈紅龍(れっこうりゅう)だ。
あと、別に敬語なんて止めてくれよ、同い年くらいだろうし・・・」・・ぐぅ〜・・・

そういった瞬間、何かがなった。
「あ・・・やっぱ団子でもおごってくれね?」「喜んで!!」と、言うわけで自分も、団子を注文し、一応の一服が出来たのだった。

「そういえばさ、白凰は何であんなところで倒れてたんだ?」烈紅龍が聞いた、「あ・・・あの・・実は失踪した友達を探しに・・・・挫不都の国へ・・・・」弱々しく白凰は答える、地図を忘れてしまって道に迷って行き倒れ・・・なんて口が裂けてもいえない。
「ふーん、そうか・・・なんか、俺と似てるな。」「へ?」白凰は思わず言った、「俺には弟がいるんだけど、実は・・・・行方不明になっちまってさ、そいつが挫不都の国辺りにいるって聞いたんだ、・・・・・あれ?お前さっき挫不都って言わなかったっけ?」・・・気付くの遅!と密かに思いながら、白凰は「じゃ・・・僕らおなじとこ目指してたんだ・・・・」そう言った瞬間、急に烈紅龍は言った、「じゃあさ!これも何かの縁って事で、いっしょに行かないか?旅の仲間は多いほうがいいだろ?・・・それに・・・実は俺、・・その・・地図もってなくてさ・・・」
「いいね!って実は僕も・・・」
結局、地図のない二人は、いっしょに旅をする事になったようである。

さて、店でちょうど地図を売る商人がいて、ふたりは地図を買った、それを見ると、どうやらこの練郷街道は、挫不都の国につながっているらしい、白凰たちは、すぐに道を行こうとした、「えっと・・・亜名刃遺武山(あなはいむざん)があっちだから・・・・あれ・・?」烈紅龍は、さっきから地図とにらめっこしている。

烈紅龍・・・(いきなり呼び捨てで)白凰が言った、「何で緋州(ピース、天宮の北方の国)が東を向いてるの?「あ、」どうやら地図をさかさまに読んでいたようだ。
道はだいぶ人通りが多くなってきたようで、いろいろな人が歩いている。

「急ごうよー、お店の主人が言うには、山賊が出るらしいよ、この辺り・・・」歩きながら白凰が告げた。「大丈夫だって、こう見えても俺、結構強いんだぜ?・・って言うか山じゃないよ、ここ、山賊っていうのか?」そういう問題じゃない、と言おうとした瞬間だった。

「おい、みぐるみ全部置いて行け!!」「ひいいいっお助けぇぇ!!」どこかで聞いたような大声だ、と、白凰が見ると・・・
なんと!道行く人が盗賊に襲われているではないか!あっちもこちらにきずいたようで、ふとこちらを見た、すると・・・「ああああっ!あんときのガキィ!!」そう!前に白凰をおそったあの山賊たちだったのだ!(第壱話参照)
「あのときの恨みぃ!はらしてやるっ!」
と、白凰めがけておそってきた!「わああ!!」「ふう・・俺がやってやる!おい白凰、見て驚くなよ!」
そういうと烈紅龍は天に拳を掲げて叫んだ!「王努桜輝招来!!」たちまち、烈紅龍の体に、
刀など武器のない紅白の鎧が装着された!「へへん、どうだ!そらよっ!」襲い掛かろうとする山賊に裏拳を一発!「ふぎゃっ!!」「き・・・君も・・・!?」白凰は思わず聞いた。「え・・・・「も」ってこたあ・・」「そのとおり!王努桜輝招来!!」白凰も鎧装着した。
「へー、ホントに俺だけじゃなかったんだ・・・・」そのまま話し始めてしまった。
「いててて・・・・って何話し込んでやがる!!こーなったら・・・・・・・召喚!!
山賊は、札を数枚取り出した。
・・・・ゴゴゴゴゴ・・・・・なんと、臣が大量に現れた!

「あれは挫不都の・・・」白凰がもらした。
「ククク・・・俺はコレでも、
元裏月(ウラツキ)の足軽服隊長補佐見習候補希望、橙盗丸(トウトウマル)だぜ・・・盗んだ札がここで役立つとは・・・
彼の名は橙盗丸というらしい。
「・・・ウラツキ・・・?なにそれ?っていうかただの一般人じゃないか!どうせ、盗みを働いて追い出されたんでしょ?」白凰が鋭い突っ込みを入れた。
「うぐっ・・・・・あーもうもっとだしちゃる!」

橙盗丸はやけになって、さらに臣を召喚した。

「ぶっ!・・・テメェ!!卑怯だぞ!」
「卑怯がなんだ!そいつだって、後ろから仲間に攻撃させたんだぞう!」
指さされた白凰は「ムカッ」となって、言った「そっちが先にやったんじゃないか!ていうかやったの天鷹さんだし!」
「・・・ああもう・・ごちゃごちゃうるせえええぇ!!・・・やっちまえぇぇぇ!!!」

「ちなみにコレが俺の装備、龍甲(リュウコウ)だ!」格闘が得意なような烈紅龍は、近づいた敵を右腕についた武器のようなものでバキバキ殴り倒していったが、白凰は、刀を両手に持ち、敵をよけていた、敵が近づいて来ると刀はいまいち使いずらい。
「ああもう!じれってぇ!こうなったら開放するぜ!」「へ!?」と白凰は言ったが烈紅龍は聞いていない!
「王努桜輝開放!!(オドロキカイホウ)爆龍牙(バクリュウガ)!!」そう叫ぶと、烈紅龍の龍甲が、ガバッと開いた!
そして、彼が腕を突き出した瞬間、衝撃が発生し、辺りの臣が吹き飛んだ!
「なにそれ・・・あっ!」白凰の脳裏に戦狼の武器、薙矢威刃が浮かんだ。

「おい!白凰早くしろ・・・・って・・・まさかおまえできないんじゃ・・・?」
「う・・・うん。」まだ、白凰には開放ができないのだ。「おい、!後ろだ!」烈紅龍が言ったとき・・・
ザシュゥッ「ぐああああっ!!!」臣に後ろから斬られてしまった・・・・・バタ・・・・・
背中に激痛が走り、白凰の意識は次第に薄れていく・・・・「うう・・もう終わりなのか・・?」
今までの思い出が走馬灯のように映し出されてゆく・・・・その中に紅牙の顔もあった・・・・
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「・・・・・い・・・おい・・・諦めんな・・・」烈紅龍の声が届く、
「いいのか・・・・友達を探すんだろ・・!?」「そうだ・・・・紅牙を・・・見つけて・・・・・」
  「・・・・・オドロキ・・・・・」白凰は痛みをこらえて立ち上がる・・・。
  「王努桜輝開放!!斬影丸(ザンエイマル)!
白凰が唱えた瞬間、超轟禁の刀身が次第に形を変えていった。
「これが・・・僕の斬影丸・・・行くぞ!!」
白凰は、刀を構えたまま突進した、そして下から振り上げるように一回敵の集団を切りつける!
衝撃が斬撃となり、周りの臣も吹き飛ばす!!
「すげぇ・・・・これが白凰の装備・・・!」烈紅龍ももらす。
そして・・・・「行くぞ・・・・王努桜輝奥義ッ!影魔一閃(オドロキオウギ エイマイッセン)!!」  体をひねり、横の斬撃を繰り出す!!「オオオオ・・・グアアアア!!!」
臣達は片っ端から消滅していった・・・・。

「マ・・・マジかよ・・・・」橙盗丸も言った。
「う〜〜ん・・・・」ばたり、と、白凰は倒れこんだ。「あ〜あ、いきなり大技出すから・・・・」
「う・・・うわぁぁぁ!!」橙盗丸は逃げ出す、しかし「まてぇぇぇ!!」ボカッ!!バコオオオオン!
「うぎゃああああぁぁぁぁ・・・・・・」烈紅龍の全力のパンチで、橙盗丸は彼方に吹っ飛んだ。
「烈紅龍・・」白凰がつぶやいた、「ん?何」「あいつ捕まえたら、挫不都のこと聞きだせるんじゃあ・・・・」白凰が突っ込んだ、「あ、忘れてたわ・・・ははは」「・・・・・・・・」

「あのぅ・・・」どこからか呼び声がした。「はい?」どうやらさっき襲われていた人らしい。
「なんですか?」白凰は答える。「あなた方、紅牙って人を探してるんですか?私、もしかいたら知っているのかもしれないんですが・・・・」
「「なんだってえ!?」」二人は口をそろえていった。
「ここから南の方にある、具和殿輪亜駆守(ぐわでんわーくす)の方でそんな名前を聞いたので」
具和殿輪亜駆守とは、天宮のさまざまな部品を製造している工場の事であり、各地に存在する。
「よっし!ありがとよ!そんじゃ早速行ってみようぜ!」烈紅龍が駆け出した。
「待って、烈紅龍!そっち北だよぉぉぉ!!」


第五話おわり

次回予告!

紅牙を探しに駆け出した、次なる目的地は具和殿輪亜駆守!!
彼らはそこで、驚くべきものを見た!!

次回:突撃!衝撃!具和殿輪亜駆守!
お楽しみに!