清水と烈紅龍がたどり着いた部屋。
そこは、黒で統一された、機械に囲まれたカラクリ部屋だった。

「つーことは・・・この部屋の主は・・・」

「・・・やはりお分かりですか。」
丁度前方に位置するモニターに、蒼匠斎の顔が映る。
「やっぱりてめーか!しょうしょうしゃい!!
「・・・」
「・・・烈紅龍。」
「悪ぃ。」
微妙な空気だ。

第弐拾話:鋼鉄の鬼械

「・・・くだらないやり取りはここまで、です。」
「そうまで言うってことは・・・よっぽど自信があるんだよね?」
「さっさと出て来い!コノヤロー!」
やれやれ、という顔のまま、蒼匠斎は告げる。
「・・・私の傑作がお相手します。」

パシュッ・・・ガコン!

何か、機械が作動する音。
床の中心が開き、黒い箱がせりあがってくる。
プシュゥ・・・ガシャン!という音とともに、止め具が動き、煙とともに扉が開く。

「・・・何なの・・・!?」
箱の中に入っていたものは、黒と赤で彩られた、屈強な鉄器武者・・・
「戦闘行動開始。・・・10分で片付けてしまいなさい。怒雷殴(ドライデン)
『御意(ラジャー)』怒雷殴の目が赤く光り、戦闘が始まったことを告げる・・・

『殲滅行動(オペレーション)開始』
怒雷殴が金棒を振りかぶる。
「烈紅龍!」
「おう!」

一方、納徒がたどり着いたのは不気味な研究室。
部屋中に水槽が置かれ、何かが蠢いている。

「核鬼ィ!!出て来い!」

のう・・・と・・・
目の前のひときわ大きなガラスの管の中に、莉穏が手足を繋がれている。
「莉穏!」
かろうじて声は伝わってくる。
しかし・・・幾らガラスを叩いてもヒビすら入らない。

「クックック・・・その顔だ・・・もっと見せろ・・・」

一方のカラクリ部屋である。

月光鋼砲(げっこうはがねほう)・・・発射(ファイヤー)』

ズギャアアアアアアアア!
怒雷殴の肩からの大出力レーザー攻撃!
「危ねっ!!」
「うっわ!」
左右に飛んで避ける二人。その後の行動は図ったように同じだ。

「うらあああぁあ!」
「えーい!!」
清水が右、左右からの同時攻撃・・・しかし・・・

ガギィッ!

左右の掌で攻撃を受け止める怒雷殴。
清水の刀から飛沫が飛び散る。

「なんだコイツの硬さは!」
そう思ったのもつかの間、烈紅龍に裏拳が飛ぶ。
「ご・・・っ・・・!!」
数メートル吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる烈紅龍。

「烈紅龍!・・・っく!」
腹部のガトリングの攻撃をギリギリでかわす清水。今助けに行けば烈紅龍が巻き添えを喰う。
「早く起きてッ!烈紅龍!」

さて。
こちらは単独、階段を駆け上がった火燕丸だ。
「・・・この部屋は・・・なんと禍々しい・・・!」
暗い部屋に、紫色のろうそくがともっている。
ほんのりと香る香の匂いも相まって不気味な部屋だ。
「ぬっ!?」
突然紫の炎が火燕丸めがけて飛んでくる。
一発目をよけ、後は槍旋風でかき消す。
「すでにここにいるようだな!出てこい!」
暗闇に向かって叫ぶ火燕丸の目の前に、黒髪の女が現れる。

「・・・!女性・・・!?」

現れた女性・・・妙魏に対して、武器を構えず、呆然とする。
「噂に聞いたとおり、異国は女が優位というのは本当のようじゃな。」
「出来れば淑女(レディ)は傷付けたくない。降参してくれないか。」
妙魏はそんな火燕丸を嘲るように告げる。
「・・・ハッ!安心するがよい。戦うのは童ではないわ。」と、懐から一枚の紙人形を取り出す。
「・・・式神術・・・か!?」
「ほう・・・よく知っておるのぅ・・・ならば・・・術者の力量が左右するのもしっておろう?」

ガリィッ!・・・妙魏は自分の指をかじる。親指から血が滴る。
「行け・・・我が最強の式神・・・芸津(ゲイツ)・・・!!」
妙魏の血で呪文を描かれた紙人形が地に落ちると、黒い光とともに式神が現れた・・・

「なるほどな・・・!コイツを倒せば先に進める・・・というわけか・・・」

ここは再び、怒雷殴との戦い。

「結局よー。下手になれない戦い方するのがいけないんだな。」
「頭脳戦になれてないのは烈紅龍だけだってば・・・」
あきれ顔の清水に烈紅龍が反論する。
「何言ってんだよ!関節狙うのは俺のアイデアだろーが!!」

その前には・・・
腕や月光鋼砲を破壊され、甚大なダメージを負った怒雷殴!
トドメは今!烈紅龍はにやっと笑う。
「清水!ぶっつけ本番だ!アレやるぞ!」
「ええっ!!ほんとにやれるのアレ!?」
「いいから!こういうのは勢いなんだよ!!」

しぶしぶと、清水は水筒を取り出し、流輪剣にとりつける。
直後、流輪剣が弓に変形!!
そしてその横で、烈紅龍が紅龍拳の構え!

「「合体王怒桜輝奥義!!」」

突っ込む烈紅龍を、清水の矢がらせん状に包み、怒雷殴へ向かう!
負けじと胸の機銃を乱射する怒雷殴!だがしかし水の矢がそれをかき消していく!
その姿はまるで2匹の龍!!

「双龍烈波ぁあああああ!!!!」

二匹の龍が、怒雷殴の装甲を貫く!!
「任・・・務・・・・・・・・・・・・完・・・・・・・・・・」

ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

「はッ!注文どおり10分以内で片付いたぜ!撃☆砕々!ってな!」
「・・・」(11分たってるんだけど、黙ってよ。)

火花を散らし、怒雷殴の残骸を背に決める烈紅龍。
しかし、清水の心には、一つ疑問が残る。

(・・・今・・・アイツ・・・・任務完了って言った・・・?どういうこと?)

「・・・倒されてしまいましたか・・・怒雷殴・・・ご苦労でした。」
先ほどの映像を流していた小部屋。
そこにはもう、蒼匠斎はいなかった・・・


第弐拾話:おわり


次回予告!
裏月の党での一騎打ち!次の戦いは納徒!
そしてその相手は残酷にも・・・!!

第弐拾壱話:邪なる舞姫

お楽しみに!