「もう少しで着くぜー!」
と烈紅龍が言ったが、みんなもうくたくただ。
ここは、天宮の中心、破悪民我夢(バーミンガム)の町。

笑撃!実家に帰ります!?

「・・・どこ?」
「あれ。」
そう指差された先にあるのは、普通過ぎる少し大きめな民家。
ではなく、飾り物屋・・・らしい。周りの建物はむしろ豪華な感じで、いっそうその普通さが際立つ。
「飾り物屋?・・・って何?」
納徒の疑問には「んー・・・簪(かんざし)とかつくってるトコ。」と清水が答える。

「早かったじゃないか、烈紅龍。で、見つかったのか?」
・・・みんなの眼が点になる。似てない。清水には似てる気がする。
うっすらと笑顔を浮かべ、温厚な雰囲気でせっせとかんざしを作っている男性。それが烈紅龍と清水の父。
「いや、まだ・・・」
「まあいい!とりあえず今日は休みなさい。後ろの・・・4人のお客さんも、ね。おーい!かあさん!」

4人全員の心の声は一つ!!
(もう母親の想像は付いたようなもんだ!)
「はやかったじゃないのよ・・・!」
「う・・・かあちゃ」
「いままで勝手に飛び出してどこ行ってた!こんのバカ息子ー!!」
「あいだだだ!かーちゃ!ちょっ・・・!!」
「清水に探させて正解だったよ!!」

(思い通り!)とみんなは心の中でガッツポーズ。
ちなみに補足だが、父の名は幻龍(げんりゅう)、母は竜美(たつみ)という。

さて、一行は一晩幻龍の家に泊めてもらったのだった。
そして、朝。

「・・・山菜狩り?」

まあ、2人以外は泊めてもらった訳だし、手伝いをするのは当然。
で、その場所は町に一番近い山。

「ああ・・・ぼくの中の野生が・・・」
広大な山を見て翼丸がもらす。
「ま。ぼくもう普通の鳥じゃないんだけどね〜」
「え!そうなの?」
「あれ?はっくん知らなかったの?」
「・・・うん」
やれやれ、と言った顔で(?)翼丸は説明を始めた。
「ぼくははっくんの風突飛装備の特性で転生したんだ。だから正しくは鳥じゃなくて「鳥獣の鎧」。
・・・そもそもはっくん、自分の特性、わかってる?」
「うーん・・・確か融合だっけ?そもそも特性って何なのさ。」
「それは俺たちが説明してやるぜ!台詞欲しいし。」と烈紅龍。おまえはなぁ・・・。
「特性ってのは・・・その・・・つまりだなぁ・・・・・・・・・・・」黙り込んでしまう。
「それぞれの風突飛装備に備わった特殊能力のこと!ボクのだったら水流操作。」清水がスパッと言った。
こっちの方が適確だ。
「おお!それだ!」ひらめいたような顔をしている。、
「・・・もういいよ、ボクが説明するから・・・」というわけで、清水の風突飛装備講座の始まり〜

「風突飛装備の強さの一番の理由は、やっぱり普通の人じゃ出来ないようなことが出来るってとこなの。
特に、さっき言ってた特殊能力ね。
周りに変化を及ぼしたり、自分を強化したり・・・その装備によっていろんな特性があってね、ボクの場合は・・・
近くにある水を思い通りに動かせるんだ。・・・でも自分の特性ってすぐにわかるもんじゃないから・・・難しいんだよねー。とりあえず装備に聞いてみたら?」

・・・というわけらしい、烈紅龍と幼年二人以外は大体理解したようだ。
「っそ・・・そんなことよりさ!このへんでいいんじゃないのかな?」
納徒が切り出す。

「んー・・・じゃ、白凰はあっち頼んだぜ〜。」烈紅龍が指差す方向はなかなか見通しが良い場所だ。
そんなこんなで山菜狩りの始まりである。お前ら旅急いでんじゃないのかよ!ってつっこみはご遠慮願いたい。


おやくそく?」やれやれ、といたような表情で白凰は振り向いた。

「わーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」


欧米か・・・じゃないはくおー!!」清水がとっさに前へ駆ける。
「馬鹿ー!!」烈紅龍があわてて叫んだ!
「何が!?白凰がたいへ」
「ねーちゃん!し・・・下ーーーー!」納徒も叫んだ。
「・・・?」下を見て、にっこりと笑う。

「お約束・・・その
ひゃああああああああああああああああああああああああああああああ・・・・・・」


「・・・んー・・・欧米か・・・じゃないよ!」
訳のわからないことを口走りながら白凰は気が付く。
どうやらがけの下に広がっていたのは・・・
「・・・山菜畑・・・?」
そういっても差し支えないくらいだ。
数々の山菜が生い茂っている。遠くの方は霞がかって見えない位なのだ。
足の下にはつぶれた山菜が。もったいないがコレのおかげで助かったのだろう。

上を向いてみても霧ばかり。
しかたなく、そこでノルマをちゃっかりと果たし、その場を離れることにした。

さて、一方こちらは少し離れた場所。
林の間をなにやら、やっぱりどこかで見た、というかあのお姫様が迷っていた。
「・・・うう・・・じい・・・どこへ行ってしまったのですか・・・もう・・・だめかも・・・ですわ・・・」
泣きそうになりながら(というか半泣きで)歩いている。すると・・・

どすーん!

「ひゃっ・・・!?な・・・な・・・なんですか・・・!!??」
しかたない、と、見にいって見ることにした。

・・・なんてこった。
よりによってこんな森の中で、好きな人とばったり。
なんでこんなときに!っていうかなんでこの人好きなんだっけ!っていうかなんで私って生まれてきたん(ry
頭の中がメチャクチャになった。

「キミは・・・楽妃ちゃん!・・・だったよね?」
自身なさげな一言。
「あ・・・じ・・・じこしょうかい・・・してませんでしたね・・・」

ついに。
このときが来た
一度大きく息を吸って勢いをつけた。

「わ、私天宮でやってます楽妃ともうしましゅ!!」
「え!?お、お、おひめさ・・・!?や、やっぱりあの時聞いたのって」
ムリ!やっぱむり!ここから先は出てきませんーっ!!
とばかりに噛みながら顔を真っ赤にして、楽妃は走り去ろうとした・・・!
「そっちはあぶないっ!」
「・・・え・・・?」

楽妃の走っていく方にはもう一個の崖。

「・・・あー・・・いったいよー・・・もーさいあくだあー・・・」
「だいじょーぶー?しずみん・・・」なにげにさっきからいなかった翼丸がいる。
何の気なしに顔を真正面に向ける。
「ん・・・?あれって・・・!?」

一瞬だったが、駆け出していた。
腕をつかみ、思いっきり引き戻す。

「・・・けが・・・ない・・・?」
「あ・・・はい・・・」程なくして、小さい返事は戻ってくる。
・・・沈黙を破るように、楽妃は呟いた。
「・・・あ、あの・・・」
「何?」
胸がドキドキするが、さっきの危険のせいだと思えばさほど気にならなかった。
「ずっと・・・私は・・・あなたのことを・・・」
「・・・?」
「影ながら・・・ですが・・・」こんどこそ、と一度止め・・・

お慕いしておりました・・・」

・・・言った。
いま、確かに私は言っちゃいましたでございますよ神様め。

「・・・そ、それでは・・・旅のご運を祈ります、それじゃ・・・・失礼しますぅっ!!」
そういって、また楽妃は駆け出す。
ぽかーん。となる白凰。
「・・・」(??オシタイ・・・って・・・)

さて、一段落し、ついに烈紅龍の家に戻った一行。
大量の山菜で作られた夕食を一気にかきこみ、全員、倒れるように眠り込んだ。
ずうずうしいにもほどがある。

「・・・じゃ、気をつけて行きな。」これは辰美の言葉。
「今度こそ・・・天津を見つけてくるんだぞ!」
「おうよ!まかせとけって!親父!」
「期待してるからね。清水。」
烈紅龍が石になった。

歩き出した一行に幻龍が思い出したように叫んだ。
「あ!そうそう!挫不都の国へ行くんならを渡るといいぞー!」
「・・・」


「海!?」


ところで、ここは挫不都の国。
森の中でたった今まさに戦闘が行われている。
「ナンダヨ・・・スコシハツヨイカモトカ・・・オモッタオレガバカミテージャン・・・」
ただならぬ殺気を纏った黒い武者が、盗賊のような男に向かってはき捨てた。
「ば・・・バケモノ・・・!!」
「マケイヌハダマッテオレニクワレテロヨ・・・
サッサト・・・シネ・・・ゴミクズ。」

暗い森の中に、男の悲鳴が響いた。



さんさんと照る太陽の下、幻龍が思いふけっていた
「・・・ふーむ・・・やっぱそっくりだな・・・兄さん、元気にしてるかな・・・」

そして一方。結局何のことを言われたのか気づかない白凰と、焦る清水だった。



第16話:おわり

次回予告!!
目の前に広がるは大海原!そして大貨物船!!
そして現れたのは海獣!?そしてアイツ!!

次回!『驚異と脅威の大海獣』
おたのしみに。

ヒトリゴト

両手にですね、白凰君。