「うう・・・白凰様はいずこに〜・・・?」
「まってくだされ〜」
着物を着ているが、枝を掻き分け山道を進む。
楽妃とじぃの姿があった。
第十壱話:王努桜輝進化!大妖怪!
当の白凰達は
がさごそ・・・
「烈紅龍!」火燕丸が怒鳴る。
「やっぱりあの道、右に曲がるんじゃないか!!」
白凰も叫ぶ。
「んなこといったって!」
道なき道を進む白凰達の目の前には、木!木!木!!
「しかも、さっきここ通らなかった!?」
そう言った直後、誰かの影が見えた。
「・・・ん・・・?だれだー?」
それは、かさにマントの、旅姿のような男だった。
手には何かを優しく持っている
「あ、人!」
「お、あんたら、旅の人かい?」
「おう!迷っちまったんだ!助けてくれ!」
「この山を上るつもりならやめときな・・・こっちに村がある・・・」
「え・・・」
「最近はいろいろ危ないからな・・・ん?」
のんびりとした感じの口調で言う男の手の中、何かが弱々しく鳴いた。
「・・・ピ・・・ピィ・・・」
「ん?どうしたお前・・・?」
「翼丸!?」
多分その声、聞き間違いでなければ、白凰の飼っていた鳥、翼丸だった。
「ほう・・・君の鳥か・・・?」
「脚に何かくくりつけてある!」
白凰は手紙のようなものを開く。
彼の案内で着いたのは、於雄得山の隠れ里だった。
「最近はいろいろと物騒だ、ここで一夜明かして帰るんだ。」
「あ、待って、お名前は!?」
白凰が聞く
「ま、名乗るほどのもんでもないが、天海丸(テンカイマル)だ、んじゃ、な。」
「・・・どうしよう・・・?」
白凰が呟く
「ん?とりあえずここに泊まるんじゃないのか?」
「・・・翼丸のことだな?一体どうした?」
火燕丸が聞いてみた。
「ここ・・・」
白凰の指差す個所には大きな傷跡があった。
本来の黄色い羽毛が真っ赤に染まるほどの傷だった事が容易に想像できる。
「・・・医者なら・・・治せるかもしれない!」
白凰は、あちこちの人に聞きまわって医者を探し、飛び込んだ。
「・・・しばらくは安静だね」
医師の言葉だった。
「完全には治らないかもしれんが、一応元気になるだろう・・・」
「完全には・・・?」
「これを完全に治すには・・・ここいらの薬草が必要なんだがな・・・」
医師は口ごもる。
「・・・何かあるんですか・・・?」
「・・・んー・・・実は・・・最近の、妖怪が出るようになったんだ。」
「妖怪・・・?」
「ああ、最近ここいらを荒らしまわっとる、タチの悪い奴でな・・・
だが、最近は天狗殿が助けてくれとる・・・」
「天狗・・・?」
「ああ、鞍丸(クラマル)といってな、いい心を持った天狗じゃよ、
わしらを妖怪から護ってくれとるんじゃから・・・」
その言葉になぜか違和感を感じる白凰。
「ところで、薬草、採ってくればいいんですね・・・?」
「ああ、飲ませるだけでええ・・・ってまさか今から行く気か!?確かに一刻を争うが・・・」
外はもうすっかり夜になっている、白凰達は明日、薬草を探しに出発する事にした。
その同じ頃だった・・・
於雄得山の山小屋。
何かが翼を広げ、大空へ飛び立っていった。
それは、鳥でもなく、蝙蝠でもない。
まるで天狗のような姿だった・・・
そして、山の何処かに飛び込む。
「・・・ドコだ・・・!鞍丸!!」
さて、朝になった。
白凰は翼丸が心配で眠れなかった様子
「・・・お・・・はよ・・・」
「大丈夫か・・・?」
「まるで「ぱんだ」だぞ・・・?」
早速於雄得山に入る三人。
「んー・・・確かこのおくって言ってたな・・・」
「・・・足元、気をつけろよ?」
「うん・・・あ、あれ、そうかな!?」
「おい!白凰、そっちは!」
「へ?」
駆け出した白凰は、少し経って気付いた。
自分が空に立っていることを・・・
「え・・・」
「どっかでみたな・・・じゃなくて!!」
烈紅龍が一人突っ込みをする、やってる場合か。
「あ、う、うわああああああぁぁぁぁぁ・・・・・・」
「白凰ォォォォォ!!」
彼は、崖から転落した・・・
「ど、どうする!」
「もちろん降りるぞ!!」
「どうやって!」
「・・・く・・・」
断崖絶壁の上、二人はただ立ちすくむ事しか出来なかった・・・
「いたた・・・よく死ななかったな・・・」
冗談を言えるだけ、彼はまだ元気だった。
ちょうど落ちたところに草が広がっていた、自分でも驚くほどの幸運だ・・・
「あ、そうだ!翼丸、大丈夫!?」
「ぴ・・・」
懐から鳴き声、無事のようだ。
「・・・おいおい・・・危ないっていっただろう・・・?大丈夫か?」
「!?あなたは!」
そこにいたのは天海丸。
「やめとけ、村で聞いただろう、ここには妖怪がいると、早く引き返せ・・・」
「いや、無理ですよ・・・?それより
何であなたはここを通そうとしないんです!?・・・何か、秘密でも・・・?」
「それは言えん、だが・・・」
マントとかさを投げ捨てた。
そこには、武者の鎧があった。
「力ずくでも通さない・・・といったらどうする?」
「そんなこといったって・・・!薬草だけでも!・・・」
「薬草だと・・・?これの事か?」
下を見下ろす、そこには一本の草、多分これが今探す薬草だろう。
「・・・これはくれてやる、だから早く戻っておいた方が・・・」
そういった瞬間だった。
ガサガサガサ・・・シュバッ!
急に木々から物音がした!
「クハハハ!待っていたぞ!」
何かが飛び出しざまに言う。
「て・・・天狗!?」
「でたか!?」
天海丸が上を見て叫ぶ。
それは、まるで待ち合わせていたようにも見えた。
「どういうこと!?」
「死ねぇ!天海丸!!」
「!?」
天狗は真っ先に天海丸に攻撃を仕掛けた。
「くっ!やはり決着をつけねばならんのか!」
「あたりまえだ!さっさと本性をあらわしたらどうだ!?」
「黙れぇ!!」
天海丸は、生身と思えないほどに飛び上がった!
「えっと・・・だましてたわけじゃないってことなのかな?・・・ん?」
白凰は一瞬目を疑った、天海丸の背中に、一瞬翼が生えたようだった。
「蝙蝠・・・?」
「くそっ!何をやっている!さっさと薬草とって帰れ!」
「フン・・・正義の味方気取りか?だが・・・!」
天狗は手にもった扇を一杯に振りかぶった。
「この鞍丸の目はごまかせんわ!」
その扇を振り下ろす、かなりの数の真空刃が襲い掛かる!
「ぐあああああああォォォォォオオオオオオ!!!」
「な、なんだ!?い、今、」
確かに聞こえた--------
「人語ではない何か」が----
「くそ・・・」
「どうした?本気は出さんのか・・・?・・・まさか恐れているのか?
そこにいるやつらに貴様の正体が知れる事を・・・
そういえば貴様の父は・・・」
「黙れぇ!!貴様が親父を語るなァァァァ!!!」
ブワッ!
「ぐ・・・!」
また見えた・・・今度ははっきりと、蝙蝠のような翼・・・
「く・・・そ・・・まだ・・・出る・・・な・・・!」
「もういいだろう!?全て吐き出してしまえ!貴様の一族の悪事もな!!
於雄得山の妖怪よ!!」
「貴様!!よくも!よくもぉぉぉ・・・!!
許さねえぇぇぇ!!!!」
「あなたが・・・あなたが妖怪!?」と白凰。
「その通り!こいつこそ人の姿を偽り、於雄得山を荒らす悪の妖怪だ!!」
鞍丸が天海丸を睨み、言い放った。
「黙れ!」
「こいつの父親はな・・・ここの里の畑の物を盗んだ・・・それだけなら良いが・・・
それを見ていた者全て・・・手当たり次第に食い殺したのだ!
こいつも同じだ・・・!山を通ろうとするものを次々殺している!!」
鞍丸が吐き捨てるかのように言った。
「貴様!!許さん!!親父を悪く言うなぁ!!」
「フン、どうだ?まだ尻尾をださんというのか?」
「く・・・そ・・・!」
「ならば死ね!世のため人のために!!」
鞍丸の扇は鋭い刃物と化した。
思い切りそれを振りかぶる!!
ガギャッ!!
「くそぉ!!妖力・・・妖力開放!!」
彼は腕で刀を抑え、呪文を唱える!
・・・ドクン・・・ ・・・ドクン・・・
「・・・え・・・?」
彼の姿は段段と変わる。
爪は鋭く伸び、背には蝙蝠のような翼。
何より、顔に黒い紋様・・・
本当に悪魔のような禍々しい姿になっていた。
「そうだ!それでこそ殺すのにふさわしいわ!天・・・いや、妖壊丸(ヨウカイマル)!!」
語気を荒げて鞍丸が叫ぶ。
「うおおお!!行くぞぉ!鞍丸!!」
激しい戦いがはじまる!
「ぴ・・・」
翼丸が苦しみだす!
「あ・・・どうした!?」
すばやく、懐を覗き込む。
「・・・!・・・そんな・・・!」
翼丸は、今にも息絶えそうな状態だった!
「はやくしなきゃ!!」
白凰は薬草に駆ける!!
第11話:終わり
次回予告!
本性をあらわした妖壊丸!しかし、彼は本当に悪の妖怪なのか?
白凰の決断の時、奇跡が起こる!!
次回「驚きの力!凰翼装!!」
お楽しみに
オマケノヒトリゴト
・・・やっぱ今回も長いですな・・・
二つに分けてみました。