「でも、さ。」
ストークが語りだす。
「あたし、かれこれ数ヶ月ここの町に居るけど、銃魔王の話なんて聞いてないよ?」

そもそも、自分が銃魔王なのだが、それはさておこう。

「・・・あらかたの情報は探したし・・・とりあえず、町から出てみる?」
そういってユウナが指差した先は・・・夕日に照らされた・・・駅。

Stage6:Underway train-車内マナーを破るモノ-


「痴漢に気ぃつけろよー」・・・と、駅で2人に呼びかけるトリンガー。
電車内は混み合っている。痴漢がいてもおかしくは無い。・・・が
少なくともユウナの体型に普通の痴漢は寄ってこなにをするやめ(ry

「トリンガー!あたしたちは女性専用車両いくねー!」
「お、おう!」
すいている女性専用車両に乗り込む二人。女の特権という奴だ。
仕方なく、トリンガーは込み合っている普通車両へ乗り込んだ。
・・・正直、主人公としても、伝説の超兵器としても似合わない絵柄だ。

「・・・ん?」

背後に、何かが動く気配。
振り返ると、そこには長い金属製の手が伸びている。
伸びた先は、近くにいる女性・・・

ガシッ!

「ガンドロイドが・・・痴漢か!?」
その長い手をわしづかみにし、ギリリ、と引き寄せる。
「な・・・!!なんだげしゃ?お前は」
「質問してるのはオレだぜ!?」
そのスキに、女性がトリンガーの後ろへ駆け寄る。
「くっ・・・邪魔者がぁ・・・!!」

蜘蛛のような姿の痴漢ガンドロイド・・・スパイスパイダーは素早く連結器の方へ逃げる。
「逃がすかっ!」

「しつこいやつだげしゃぁあ!」
スパイスパイダーのポッドから放たれたミサイルを迎撃、そしてスパイスパイダーを狙い撃つ!
後方へ飛び、それを避けるスパイスパイダー!
「くっそ!ここじゃヒトがジャマだ!」
「げしゃしゃっ!さらばだげしゃっ!」
「あ・・・待てッ!!」

「きゃあっ!!」「ユウナ!!」

(あの声は・・・!?)

ヒトの波をかきわけ・・・いや、飛び越えてトリンガーが向かった先。そこは女性車両。
「まさか・・・!!」「とっ・・・トリンガー!!」
駆け寄ってくるストークの様子、さっきの悲鳴。大体状況はつかめた。
「あのクモ野郎・・・!!どこ行った!?」

列車の屋根の上。周りに見える景色の動きの早さが生々しい。
4本足のクモ型ガンドロイドは、4本の腕でユウナを羽交い絞めにしている。
「は・・・なして・・・よっ!」
「うるっさい人質だけしゃぁ!騒いだところで助けは来ないげしゃ。
 こんなところ・・・ジャッキーでもなきゃ」
「見つけたぞ4本足!!」
「げしゃ!?」
屋根の上にトリンガーが登る。かなり風が強い。2本足には戦うには不利、ということか・・・
「ふん!手間が省けたげしゃ!状況はわかるな?」
そう言って、ユウナを見せ付けるように引き寄せる。
「・・・何が目的だテメェ・・・!!」
「女だ。」

「お・・・おんな?ユウナだって女の子じゃない。」
「とぼけるじゃないげしゃ!あの女・・・ヨウコをさっさと渡せ!!」
ヨウコ・・・女。先ほどの女性のことだろうか。
「だ、誰か知らないけど、とにかくその子連れてくればいいんでしょ!?」
「待て。」
あわてるストークをトリンガーが静止する。
「その・・・ヨウコをどうするつもりだ?」
「お前には関係ないこった!ただ、まあ・・・生きては家に帰れんだろうげしゃぁ・・・」
「そう聞いちゃ・・・どっちも渡すわけにゃいかねぇな・・・!!」
「勘違いするんじゃないげしゃ・・・選択権は無い。」

「ほらほら・・・どうしたげしゃ?早く決めないと・・・」
スパイスパイダーの口についた牙から、ぼたぼたと透明な液が滴る。
電車の屋根に落ちたとき、屋根は音を立てて解けた。硫酸だ。
ユウナの首元に牙を近づける。

「止めろ!」
「だったら早くあの女を差し出せ!!早く!!」

「まったく・・・卑怯な手だねー。」

「!?」
「!!」
どこからかは知らないが、聞き覚えのある声がした。
「げしゃぁああああっ!!」
その後突然。瞬きする間もなく。スパイスパイダーが悲鳴を上げる。
腕が全て、綺麗に切断されている。まるでカマイタチの様に・・・

「今だ逃げ・・・いや・・・伏せろッ!!ストークお前もだ!!」
トリンガーの叫びに途惑う。そして振り向き、後悔した。
何かが迫ってくる・・・いや、何かは解っている。
トンネルだ。

「う・・・ぁ・・・!!」
目前に迫るコンクリート。当たれば確実に・・・
「はやく伏せて。」
ガッ!!

「・・・うな・・・」

「ユウナ!おい!」
顔の上のほうで、叫び声が聞こえる。トリンガーだろうか?
あの時・・・何かにぶつかったような感じだった。いまは仰向け。
あの時・・・すぐに伏せていたら・・・


「おいおいおい!!何モノローグに浸ってるんだよ!!」
「うえ!!??」

死んでなかった。普通に生きてた。
駅のベンチに横になっている。

「本当に運がいいんだから!!あのタイミングでこけるなんてさ!」
ストークが怒っているようだが・・・実際のところ・・・

こけたというよりも、誰かがあの時、私の背中を思いっきり押した。そのおかげで屋根に顔からつっこんだ。

「あの・・・」
帽子を目深く被った女性。さっきのクモの話では名前はヨウコというらしい。

「ありがとう!」
彼女は勢いよく頭を下げた。どうやら数ヶ月前からあのクモにストーキングをうけていたらしい。
「あ・・・名前まだ言ってなかったね!
 私・・・ヨウコ。漢字で書くと陽弧。よろしく!」

・・・ん?陽狐?

そして、帽子を取った彼女の顔を見て、私たちは驚愕することとなった・・・

Stage6:終わり・・・

なんとヨウコの正体はあの・・・!!
彼女につれられてやってきた自宅は、さびれた博物館だった。
Stage7:IllusionMusiam〜幻惑の博物館〜