「・・・SOAD?」
「そ。『ソード』よ。」
あの日から数日。ユウナの怪我はほぼ回復し、首には・・・あのペンダントと同じデザインの物。
数日前、祖父の忘れ形見、トリンガーから渡された、もうひとつの祖父の形見。
彼女の首で、キラキラと輝いている。


Stage2:Sand Ocean-砂漠の遭遇-


さて、冒頭の会話の通り、この周辺地域はとある組織によって半支配されている。
『SOAD(ソード)』。首領、レイド率いるロボット達の組織だ。
人々には、彼ら戦闘用のロボット、『ガンドロイド』に立ち向かう力は無かった。

「・・・支配・・・か」少し間を空けてトリンガーはため息混じりに言った。
「オレは好かねぇな・・・」
「実際・・・だれも好いてなんかないもん・・・」少し声のトーンが低い。
「・・・決めたぜ!」突然、トリンガーが大声を出す。
そして自信満々に空を指し、こう言い放つ!
「オレがそのソードをぶっ潰してやる!」

「・・・え・・・えええええ!?な、なに言ってるのよ!?」
「お前ら困ってるんだろ?今まで眠らせてくれた恩返しってトコだ!・・・それに」
それに、そういいかけてニヤッ、と口が曲がる。

「ついでに暴れられるだろーし!!」その表情は
(絶対こっちが本命だー!!)とユウナに心の奥で叫ばせる力があった。

そんなわけでこれより、SOAD本拠地:エクスカリバーへと向かうことになった二人。
・・・なぜ二人かはご想像の通りだ。

早くも全力でダッシュし続けているトリンガー。
あたりは砂漠のようにあつい。というか・・・
「もろに砂漠じゃない!なんでこんなトコに基地なんて・・・!」
背中におぶさっているユウナが言ったがすぐに黙り込んだ。
「どうした?」
「ずながくぢに・・・(砂が口に・・・)」
「しゃべってると舌噛むぜ!こっちで合ってるさ!」
「・・・なんでそう言い切れるのよ?」口を隠しながらの質問。
「・・・勘。」

「勘で基地までこれるほど甘くはないがや!!」
上の方・・・近くにある砂山から声がする。
「ほらな。刺客がいるってコトは正解ってこった!」
と、勢いよく声のほうを見る・・・が。
「・・・エビ?」

えびだ。
ユウナもそう思った

「まずは小手調べだがや!!ウォーリー!」

シュザープスターの号令で、小型の量産ガンドロイド、ウォーリーが大量に降ってくる。
小型といってもトリンガーの胸くらいまではある。
「ふーん、一杯いやがんな。オレが寝てる間にずいぶんとまァ・・・」
「御託はいいぎゃ!押し流せェ!!」

いっせいに進み出てくるウォーリー軍団!それに対し、なぜかユウナの襟を掴むトリンガー。
「え!?え!?」
「ちょっと上に逃げてろ!」
上!?と言う前に、トリンガーはユウナを思いっきり上空へ放り投げる。
「いっくぜぇ!!ブレイクトリガー発動!!」胸のエンブレムが開き、眩い光を放つ。
両腕のガトリングを展開し・・・乱射!!

ドガガガガガガゴゴゴゴゴ!!!!

「んなにゃあああぁっ!?」
瞬く間に大量のウォーリーは消える。そして・・・
「・・・ぁぁぁぁああああああああ!!!!」
凄いスピードで落ちてきたユウナを片手でキャッチ!
「じ、じじじじじゅじゅ寿命縮まった!10年くらい縮まったぁ!!」

「つーわけで今度はお前だ!エビ!」

「何たる屈辱!ワシはザリガ・・・ロブスターだがね!」
「どっちみち似たようなもんじゃねーか!!」
「とにかくッ!お前の首はこの『シュザープスター』が貰い受け受けるがやッ!」
エビ・・・もといシュザー(略)が飛び降りてくる。

「行くだぎゃぁぁぁ!!」
高速移動形態に変形し、突進ッ!
「”えびふりゃー”にしてやらぁッ!」
威勢良くガトリングを撃つトリンガー。だが・・・!
ガガガガガガキッ
「はじきやがっ・・・ぐあっ!」
「うひゃはははは!思い知ったかや!?さあもう一発ぅ!」
弾が効かない!いきなりのピンチにユウナがとっさにアドバイスする
「か・・・関節狙って!!」つまり、硬い装甲の隙間を狙え、というものだが・・・
「無理に決まってんだろ!」彼の『ガトリング』は全銃魔王中最も連射力が高い。
・・・が。精密性は最低クラス。難しい注文である。

・・・実は今、もう一人この戦いを見つめるものがいた。
「・・・世話無いな・・・」マントにテンガロンハットのその男。おそらく人間ではない。
マントの下から銃を出す。

「ぎゃひゃひゃはっ!ダンボックスもこんな奴にやられるとは哀れだぎゃぁ!」
調子に乗るエビ。おそらく今最もかがやいている。
「・・・何だ・・・?」トリンガーは何かを見つける。
エビの首筋に赤い糸のようなもの。
・・・レーザーサイト・・・!そう気づいたときはもう遅かった。
ビスッ!
「・・・は?」
正確に狙撃されたエビの首筋。
バスバスバスッ!!
そんな音がしたときはもうすでに彼に動く手足は無かった。
「・・・何が・・・起こったん・・・だギャアアアアアアアアああッ!」
派手に大爆発するシュザープスター!

「え・・・!?何したのよ!」
驚くユウナをよそに、トリンガーは崖の上をにらみつける。
「・・・誰だ・・・!俺のジャマした奴は!」
その声には確かな、不満の混じった怒りがあった。

崖の上にいた人物は、フッ・・・と笑い、高く跳躍した。
そしてそのまま一気にトリンガーのそばまで下りてくる。
近くで見ると、彼は確実にロボットである、その顔がそう印象付けた。

「・・・」
「てめーか!俺の戦いのジャマを・・・」
「しなかったら死んでいたがな。」
トリンガーの怒声に割り込み、鋭い声で言った。
「見るにたえなかったんでな・・・加勢させてもらったよ。」
「ふざけんなッ!てめぇ・・・何者だ・・・?」
「威勢がいいな・・・だがどっちみちここからは進ません。断われない頼みなんでな。」
「・・・え・・・!ちょっと!あたし達はSOADに用があるのよ!」
「いったって無駄だ、ユウナ。こういう奴はな・・・」
そう言うが早いか、腕をガトリングに変形させる。
「力ずくでどかすしかないんだよッ!」
叫ぶと同時に、ガトリングを連射!連射!!・・・だが・・・

「ふん・・・まるであたらんな・・・」
相手は軽々としたステップで避ける。
「どうだ?俺に一発でも入れられるか?」
挑発的な態度に遂にトリンガーがキレた。

「・・・上等じゃねーかッ!」
胸のエンブレムがガシャッ!と展開する!
「だが後悔すんじゃねぇぜ!俺の本気でなぁ!!」
眩い光が飛び出す!その光は地面に魔方陣とでも言うべき模様を描いてゆく・・・
「ブレイクガジェット・・・召還ッ!」

とある整備基地。
たった今発せられたコードに反応し、長らく止まっていた機械が作動する・・・!
「・・・Sistem・・・All green・・・(システム正常)」
どこからとも無く聞こえるアナウンス。
Bleak gajet No.01"Zaramalion" Stanby ・・・(ブレイクガジェット一号機”ザラマリオン”スタンバイ)」
前方のハッチが開き・・・そして!
「"Zaramalion"・・・Take Of!(”ザラマリオン”・・・射出!)」

バシュゥウウウウウウウン!!

魔方陣を通って出てきたもの、それはたとえるならばトカゲのメカ。
――ブレイクガジェット――
ガンマオーと合体し、その力を引き出す支援メカである。
「・・・なんだ。久しいな。」
ザラマリオンが口を開く。
「おうよ!」
「金なら貸さんぞ」
一瞬時が止まった。

「違ぇよ!!・・・久々に出番だぜッ!」
「なんだ・・・それならば、御意ッ!」
そう言った後、ザラマリオンはトリンガーの背中側に着く。
「・・・行くぜ!」
トリンガーの背中が開き、アダプタが露出する。
そこにザラマリオンが飛び込むッ!
「ガジェットクロスッ!!」

ザラマリオンはトリンガーの鎧となることで、彼に特殊弾『拡散(スプリット)』を与えることができる!
「喰らえぇぇぇッ!!ガトリングスプリットォ!!」
放たれた大量の弾丸は、空中でなんと分裂!!

「・・・ッ!!避け切れん・・・ッ!!」
マントの男を、弾丸の嵐が包み込む!!
「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ざまあみろっ!何が『一発あてられるか』だ!」
男はまだ立っていた。しかしそのマントはもうぼろぼろだ。
その下の素顔を見て、トリンガーとユウナは言葉を失う。
「・・・銃・・・魔王・・・?」
ユウナが漏らしたその言葉は、彼の耳にも届いた。
「・・・そうだ。俺はγOー02。『ナイパー』」
緑色のガンマオーは、そう名乗った。
「・・・なんでだ・・・」
トリンガーの言葉だ。
「・・・なんで本気を出さなかった!・・・なんで武装しねぇ!」
「・・・死んだよ。あいつは・・・」

それだけ言葉を残し、ナイパーは去った。
さすがのトリンガーも珍しく黙っていた。


「・・・と、とにかく!」
そんな空気を察してか、ユウナが切り出す。
「先へ進もうよ!SOADのトコで好きなだけ暴れれば良いじゃない!」
「・・・ふ・・・。それもそうだぜ!」
一瞬、間が空いた感じがしたが、
変わらぬ返事に、少しだけ安心したユウナだった。




SOADの本拠、エクスカリバーにたどり着いたトリンガーたちを待ち受けるものとは!!
Stage3:Excariver-蒼き剣士-